【2017/1/1】発行 北海道医療新聞 <増刊> 掲載記事全文
退院支援
札医大第1内科の関連病院として、医師間の連携により紹介患者、術後患者を数多く受け入れてきた中央区の札幌同交会病院(小林壮光理事長・166床)。機能分化、地域包括ケアシステム構築に向けた動きが加速する中で、消化器系疾患を中心に、内科やリウマチ科、リハビリテーション科等にも幅広く対応できるよう専門性を高め、医療・介護の地域連携、入退院支援にウエートを置いた病院づくりに取り組んでいる。
開院した1956年当時から、札医大と密な連携を図り、第1内科から多くの医師派遣を受け、研修医療機関としての役割も担ってきた。
医局が細分化されるとともに、入院期間が短縮、同大病院に医療連携センターが開設されたのに伴い、受け入れ患者が多様化。さらに中央区は病院や診療所が多く、介護保健施設や高齢者住宅、サービス事業所等も年々増加してきたことから、地域のニーズ変化に対応できるよう、地域連携室を開設した。
当初1人だったMSWを、現在は地域連携部として3人体制に拡充。在宅療養支援病院の届け出も行っており、木田智也MSW(地域連携室課長)は、「患者さん、ご家族の意向をくみ取りながら、より幅広い相談、依頼に対応できるようにしてきた」と話す。
コア職種カンファレンスによって個々に合わせた支援体制がより深まる
一般118床、療養48床のほか、亜急性期病床も運用していたが、2014年度の診療報酬改定に伴い、5床を地域包括ケア入院医療管理料1に転換。これを機に、患者受け入れ、退院支援がスムーズになり、「在宅復帰に積極的な病院として外部機関から認知され、院内のコンセンサスも得られやすくなった」という。
退院調整加算を取得していたことから、人員や体制などをそのまま移行し、昨春から退院支援加算1を算定している。
12年にMSWの病棟担当制を導入し、入院時から退院困難患者のスクリーニング、アセスメント体制を整備したのに加え、水曜日午後を外勤日に設定し情報収集活動を積極的に行っている。
毎週、医師、看護師、薬剤師、理学療法士(PT)、管理栄養士、MSW、事務職員が集まり、多職種でカンファレンスを実施。さらに退院支援のコア職種(病棟看護師、PT、MSW)が集まって毎週カンファレンス。退院計画に沿いながら、ケア支援、リハビリ、退院調整の進捗状況などを話し合い、退院前には必要に応じて自宅へ訪問。ベッドやトイレ周りなどの手すりの位置や動線などを考えながら、病室でも立ち上がりや衣服の着脱など、退院後の生活を見据えたバックアップに努めている。
病棟でも退院後を見据えてケア対応している
高度医療機器を備え、消化器、肝臓、リウマチ疾患、ピロリ菌感染症等の専門外来なども開設。生活行動回復看護(NICD)実践病院としても知られ、意識障害や廃用症候群により寝たきりになっても、食べる楽しみをあきらめない看護援助を行っている。チーム医療を柱に、「カンファレンスをしっかりやる」ことが、モチベーションの醸成につながっているという。
中央区では、患者流入、高齢者の転居等によって、居住施設が増加。種類が多様で機能も異なることから、紹介する前に必ずMSWが該当施設を視察する。「自分たちが直接見て話を聞くことで患者さんの退院後の生活のイメージがわき、個々に合わせた適切な入居判断ができる」のに加えて、職員間の顔の見える関係が深まることをメリットに挙げる。
地域連携室スタッフ
今後は、急性期病院からのポストアキュート患者、在宅や施設からのサブアキュート患者の受け入れ体制の強化、在宅との連携を重視。「患者の満足度、退院支援の質をいかに担保できるか」をポイントに挙げ、症状に応じてすぐに「札幌同交会病院」を選択してもらえるような取り組み、働きかけを強化していく。
投稿者:地域連携室 木田