【2013/10/01】発行 暮らしと健康の月刊誌 ケア10月号 掲載記事全文
たくさんの女性の悩みのタネとなっている便秘症。市販の薬では効果があがらず、医療機関を受診し、治療を受けている方も少なくない。便秘はさまざまな要因が考えられ、症状にも個人差があるが、食事対策の面から札幌同交会病院(中央区)で管理栄養士を務める米内山佳子栄養科係長にアドバイスを頂いた。
日本人に最も多いのは弛緩性便秘
健常人の食道運動は、順行性の蠕動運動と、それに連動した下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)の運動で成り立っており、このいずれかあるいは両方に異常を認められるものが一次性食道運動障害と考えられている。
一次性食道運動障害は、嚥下障害をきたすとともに非心臓性胸痛(NCCP)を生じさせることもある。食道内圧所見により食道運動障害を検証し、NCCPの発生機序について検討を試みた。
水分と食物繊維の摂取が大切
「便秘にはさまざまな背景が考えられますので、解消するのに苦労されている方は多いと思います。また、症状を訴える方の多さからいっても、単純に食事療法だけで改善できるとは言い切れません。
もちろん便秘と食事、食習慣は切っても切り離せない関係にあるわけですから、できることから取り組んでいくことが大切。まずは、問題となる生活習慣の見直しから始めましょう」(米内山係長)。
とくに日本人に多い弛緩性便秘の場合は、運動不足や食事量そのものの不足、水分不足などが原因となることもあるので、その解消に努めることが便秘対策となる。 「とくに高齢者の場合は水分摂取量の不足が目立ちます。暑い時期でも、喉の渇きを感じないと十分補給しない方がおり、1日の必要摂取量を『体重×30ml(高齢者は体重×25ml)』としっかり認識して頂くことが大切です。
また、食事の量が少ないのもよくありません。1日3食、栄養バランスのよい食生活を心掛けることです。食物繊維の多い食材は便秘に効果があるといわれており、野菜や果物、海藻、豆などを積極的に摂るようにしましょう。
ただし、不溶性の食物繊維を摂り過ぎると、おなかがはってしまうこともあるため、私自身は寒天やこんにゃく、海藻類など水溶性食物繊維の多いものをお勧めしています。リンゴやバナナなどペクチンの多く含まれる果物もよいでしょう」。
このほか、起床時の水分摂取は、排便の反射を促す効果が期待できるという。また、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌には整腸作用があり、人によって効果がみられている。栄養補助食品を取り扱う店舗では、粉末状のビフィズス菌も販売しており、効率よく摂る方法もあると米内山係長はアドバイスする。
「腸のリズムを活性化するには規則正しい生活を心掛けることが大切です。とくに朝食を食べない方は便秘になりやすいという指摘もありますので、注意してください。食べ過ぎも腸内で水分が十分に行き渡らない要因になることがあります。
体の筋肉量が減ることも、便秘にとってよいことではありません。日々運動不足の解消にも努めましょう」。
暮らしと健康の月刊誌 ケア10月号に掲載
投稿者:米内山佳子 栄養科係長