超音波内視鏡検査について

 

【2010/03/16】超音波内視鏡検査について

診療部 内科医長 中山一郎

1.胃、食道

通常の胃カメラでは胃、食道の表面の粘膜の観察を行い、病変の範囲を見極め、また病理組織検査に提出することにより治療方針を決定しています。近年では内視鏡治療の発達により、癌であっても開腹手術をせずに治癒するケースも多くなってきており、癌などの病変ではその範囲だけでなく、どのくらい深くまで潜っているかということが重要になってきています。超音波内視鏡検査は胃、食道内から超音波を出し、その粘膜の層構造を見ることによって、内視鏡的治療が可能かまたは外科手術が必要かどうか判断するのに有用な検査です。また、最近注目されている粘膜の下にできる腫瘍(粘膜下腫瘍)では、表面粘膜そのものに異常はないため通常の内視鏡では診断不可能ですが、超音波内視鏡検査では粘膜の構造を明瞭に描出することによって、良悪性の鑑別診断も可能になります。

2. 胆のう、胆管、膵臓

通常の腹部エコー検査では、骨やお腹の脂肪や胃腸の空気に邪魔されて、どうしても観察できない部分があります。また、腹部CT検査ではミリ単位の微小な病変を描出できないという欠点があります。超音波内視鏡は、十二指腸から超音波を出し、隣接する胆のうや胆管、膵臓を明瞭に描出することが可能で、病変の範囲や治療方針を決定するうえで重要な情報が得られます。また腹部の血管やリンパ節のはれなどの情報が得られることがあります。

3.大腸

大腸の病変に対しても内視鏡治療の発達により、癌であっても開腹手術をせずに治癒するケースも多くなってきています。超音波内視鏡検査は腸管内から超音波を出し、その粘膜の層構造を見ることによって、内視鏡的治療が可能かどうか判断に迷う陥凹性(くぼんだ)病変や粘膜下腫瘍に対して、より正確な診断を下すのに有用な検査です。

当院でも最新型の超音波内視鏡を導入しました。この検査が必要となる患者様に対しては、より正確な診断を行うために、主治医から検査をお勧めすることがあります。専門医が担当しますので、安心してお受け下さい。