医療に関する豆知識

 

【2008/01/07】
ヘリコバクター・ピロリ菌除菌治療不成功例に対する2次除菌治療

副院長 淡川 照仁

ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)はヒトの胃内に生息する細菌で、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらに胃癌や胃MALT(マルト)リンパ腫などの発症の一因と考えられています。また、胃潰瘍の再発、十二指腸潰瘍の再発にも深く関与していることが明らかとなってきました。
平成12年6月からはピロリ菌治療に対する保険適用が認められ、当院でも良好な治療結果が得られています。その除菌治療には胃酸を抑える薬(プロトンポンプインピビター)と抗菌剤2剤(アモキシシリン・クラリスロマイシン)による1日2回、7日間の内服治療が行われます。しかし下痢や発疹、味覚障害などの副作用の発現がなく、7日間の内服治療がきちんとできても除菌の成功率は約80%と完全ではありません。その原因はピロリ菌の抗菌剤への耐性獲得が考えられます。この場合、同じ抗菌剤を再度投与しても効果はあまり期待できません。

そこで、平成19年8月23日より除菌が不成功であった場合の2次除菌治療に対する保険適用が認められました。2次除菌は抗菌剤の組み合わせをアモキシシリンとクラリスロマイシンからアモキシシリンとメトロニダゾールに変更して1日2回、7日間の内服治療を行います。2次除菌治療による成功率は1度目の除菌不成功例の80%以上といわれています(最終的に100例中96例が除菌される!)。

除菌治療の成功により胃・十二指腸潰瘍の再発が抑えられ、さらに胃癌発症のリスクの軽減が期待されています。

胃・十二指腸潰瘍の再発を繰り返す方、出血性胃潰瘍を経験された方、再発された場合に出血などの危険な合併症を起こす可能性の高い方、早期胃癌で内視鏡治療を受けたことがある方などで1次除菌が不成功であった方は特に2次除菌が望ましいと考えます。2次除菌についてはお気軽にご相談ください。