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第14回「日本ヒューマン・ナーシング研究学会学術集会」に参加して
第14回「日本ヒューマン・ナーシング研究学会学術集会」に参加して
平成30年10月27日に第14回日本ヒューマン・ナーシング研究学会学術集会が京都で開催されました。
京都看護大学学長である豊田久美子講師の「変化をもたらす看護の探求」を聞かせていただき、講演の中で生活行動とは人間としての尊厳・その人らしさであると述べており、患者に対して目的意識を持ってどのように支援していくのかが、看護にとって大事であるということを学びました。
私は今回「廃用症候群の高齢者に対するバランスボール運動と端座位の看護による効果の報告」を演題として発表させていただきました。患者さまは急性腸炎にて入院され、既往はパーキンソン病、レビー小体型認知症がありました。臥床時間が多くADL低下が見られたため、入院後7日目より自宅退院に向け、リハビリ介入の他に、端座位とバランスボールを用いた看護介入を実施しました。介入前は端座位も保持出来ず、食事もベッド上で看護師の手を借りて摂取され、「運動しなくてもいいよ」等という発言が聞かれていました。しかし、介入を続けていくと端座位を保持し、姿勢も安定することが出来るようになり、食事も車椅子乗車し自力で摂取出来るようになりました。発言も意欲的になりました。端坐位は脳を刺激し、食行動の再獲得が可能となり意欲的な言動に繋がり、介入を続けていく中でパーキンソン病を有する事例でも、端座位時間の延長や食行動の自立、車椅子乗車が習慣化できたと考えられます。バランスボール運動と端座位は、パーキンソン病を有している患者の意欲向上と体幹の筋力強化に繋がり、自宅退院に向け食行動が再獲得できた一つの手段として有効でした。本研究に関しては、1事例でしたが、今後も神経疾患の患者さまが生活行動を再獲得できるようアプローチしていきたいです。
投稿者:3階病棟科 宮田泉
第13回「日本ヒューマンナーシング研究学会」に参加して
第13回「日本ヒューマン・ナーシング研究学会」に参加して
平成29年10月21日に、第13回日本ヒューマン・ナーシング研究学会が岐阜県で開催されました。
「生きることを支える~NICDの挑戦」という大会テーマのもと、2つの教育講演と25の演題発表がありました。
教育講演では、原疾患の治療のみならず積極的な栄養評価・管理を行い、筋肉が減少し健康障害に陥りやすい状態となる、栄養の負の連鎖を断ち切るよう努めていかなければならないと話されており、医師・栄養士などとの連携を図りながら栄養管理を行っていくという看護師としての役割を再認識する機会となりました。また、正当な看護の評価という講演では、自分たちが行っている看護を振り返る機会となりました。
また、25の一般演題ではベースが同じでも、いろいろな視点で展開していくことで、患者様それぞれにあった、もしくは家族の希望に結びつく結果が報告されておりNICDの生活に及ぼす影響について再認識することができました。
私は今回、「高度認知症高齢患者の反応を引き出すアプローチ」という演題で事例発表をさせていただきました。
入院当初は寝たきりで反応が乏しく、覚醒と睡眠が確立されていなかった患者様に対し
介入を行なった結果、高齢で認知症があっても、日中に起きて夜に眠るという基本のサイクルを取り戻し、表情や言葉、手の動きなどさまざまな反応を引き出すことができたという
事例でした。
今回の学会に参加し、あらためて継続の重要性を、実感することができました。
投稿者:2階病棟科 主任 伊勢谷暁子
第12回「日本ヒューマンナーシング研究学会」に参加して
平成28年10月15日に第12回日本ヒューマンナーシング研究学会 学術集会が札幌で開催されました。
私は今回初めて本学会へ参加し、当院の取り組み(NICD:意識障害・寝たきり患者の生活行動回復看護)を発表させていただけて光栄だと感じました。
今回取り組んだ事例は、80歳代の男性で術後の絶食により嚥下機能の低下をきたした方でした。本人の食事への希望が強かったこと、認知機能の低下がなかったため、食前のストレッチや複数回嚥下を指導し食事行動の回復を可能にすることができました。家族との関わり方についての質疑もあり、NICD の取り組みにおいて家族の存在は重要なものであることを再認識しました。
大きな会場でその場にいる方々に伝わるように工夫したパワーポイントや発表原稿を作成する過程は私自身とても勉強になりました。そして、どこの施設でも、熱心に取り組まれている様子が伝わってきました。特にほんの僅かな反応を見逃さず改善が見込める可能性を追求した事例は日々のスタッフの観察力が強く影響を及ぼすものだと思いました。他施設での取り組みを参考に、患者への看護実践に更に力を注いでいきたいと感じました。
ナーシングバイオメカニクスに対する意識調査の結果から、家族への指導にも有効と考えられるという研究があったが、地域包括ケアシステムの構築や在宅医療の推進と言われている中でNICDの取り組み事体が大変意義のあるものだと思います。寝たきり状態の方が座れる、食べられないと思っていた方が食べられるというのは人らしい生活を取り戻せることに繋がっていくのではないかと考えます。
地域に戻った方が少しでも自分らしい生活を送れるように、病院という場所において私自身ができることを継続していきたいと思います。
会場前にて
投稿者:4階病棟科 副師長 高橋恭子
第11回「日本ヒューマン・ナーシング研究学会」に参加して
平成27年10月24日に滋賀県南草津市で日本ヒューマン・ナーシング研究学会第11回学術集会が開催されました。『NICD基本の「き」-生活行動を支える源に焦点をあてて-』という学会テーマのもと教育講演と15題の交流集会が開催されました。
教育講演では大変学びになることが多く、紙屋先生の講演では、患者の事例を通してどう変化したかわかりやすく説明して頂き、実際にNICDに取り組むスタッフだけではなく、家族の協力が重要なポイントになることを学びました。また日高先生の講演では「食べることの意義は、栄養を確保するためならCVやPEGでもいい、でも患者が人間らしく生きていると感じられるのは、口から食べ物を接種する幸せである」という言葉を聞き栄養確保について考える機会となりました。
演題発表で私たちは3階病棟で取り組んだ看護介入事例である「重度認知症高齢者に対するNICD導入の工夫点の検討」を発表しました。重度認知症高齢者にNICDを取り組むことによって患者の自発性を引き出し、生活行動の回復を図ることが出来ました。認知症高齢者が急増している社会背景や、そのような患者に対しても在宅介護へと施策転換が図られる中で認知症区高齢者の理解や機能維持への取り組みの重要性を実感しました。また、日頃取り組んでいるNICDの意義も確認する事ができ、今後も患者の残された機能を呼び戻す取り組みを継続実践していきたいと思います。
投稿者:市川真有・佐々木瑠美・金川ひとみ